発電機マメ知識TRIVIA
2021.01.20
【非常用発電機のエンジンが掛からない】燃料系統の故障
始動盤から操作してセルは回る、蓄電池は問題ないのに非常用発電機のエンジンが掛からない
原因のひとつに燃料系統の故障が考えられます
燃料系統に空気が混入しているか
燃料噴射ポンプが固着している場合もあります。
今回は燃料噴射ポンプの固着による非常用発電機が動かなくなる原因と修理をご案内します。
ディーゼルエンジンの構造は、燃料を圧縮してエンジンへ供給をします。
燃料噴射ポンプは燃料の圧縮とエンジンへの供給を行う部品です。
毎日動かす発電機とは異なり、非常用発電機は動かす機会が少ないため
古くなった燃料が同じ場所に留まる結果、固着をしてしまうケースがあります。
何度かセルを回したり、プランジャー部分に刺激を与えても症状の改善が見られない場合には
燃料噴射ポンプの修理が必要になります。
エンジン始動できなくなった非常用発電機の燃料噴射ポンプ修理
非常用発電機から燃料噴射ポンプのユニットを取り外します。
2気筒モデルの小さなエンジンであれば、現場で修理できますが
4気筒以上のエンジンになりますと、ユニットを持ち帰り内部をすべて分解整備をします。
パーツひとつひとつをすべて分解し、固着した部分の洗浄とパッキンなどの交換を行います。
サイズにより異なりますが、オーバーホールは3~7日間を要します。
オーバーホール後の燃料噴射ポンプを取り付け
無事に非常用発電機は始動でき正常運転に回復しました。
予防保全のメンテナンスとして、劣化した古い燃料は再固着を招くため、全量交換とオイル・冷却水・オイルフィルター・燃料フィルターの
交換を実施します。

左 新品軽油
右 酸化した古い軽油
非常用発電機の燃料は使い切らないので古くなる
非常用発電機に搭載される燃料は軽油か重油が使われています。
軽油は古くなると写真のように酸化が進み、燃焼不良や燃料系統への固着など故障原因を招きます。
重油は古くなるとセジメントと言われる残炭分が増加し、フィルターの目詰まりによる不具合症状を引き起こします。
非常用発電機は毎日使う機械ではないため、搭載された燃料を使いきることはほぼありません。
多くのお客様は、減った分を継ぎ足しで対応されていますが
最低でも6年を経過する前に、品質の変化した燃料は全量交換をお勧めします。
品質変化した燃料を使い続けることで、燃料系統の故障原因を取り除くことができます。
年に一度の点検とあわせ、消耗品の交換メンテナンスを実施することで、ランニングコストの削減をお手伝いできます。