発電機マメ知識TRIVIA
2021.11.01
非常用発電機の燃料(軽油・重油)はつぎ足しではダメ?
非常用発電機の燃料系統トラブル
非常用発電機の搭載燃料の交換について多くのご質問を頂くことから
今回、燃料交換を推奨する理由を解説します。
よくある質問 なぜ6年周期で燃料交換が必要なのか
結論から申し上げますと
燃料交換は6年以上を経過しても非常用発電機のエンジン始動はできます。
6年周期で燃料交換を推奨する理由は
燃料系統の故障リスクを軽減するためです。
燃料は空気に触れた段階から少しづつ酸化が始まります。
燃料分析をしていますと、おおよそ5~6年で燃料の品質変化が見られます。
燃料のつぎ足しではダメなのか?
品質変化をした古い燃料と新しい燃料を混ぜるのはお勧めしません。
新しい燃料の品質劣化を早めること
つぎ足しでは、燃料系統の故障リスクを軽減する根本的問題の解決にならない2つの理由からなります。
燃料のつぎ足しで起きた実際の不具合事例
黒煙・白煙の異常な排気色
品質変化した燃料は燃焼効率が悪く、異常な排気色が出ます。
黒煙や白煙が止まらない場合には、燃料バルブなどの不具合にまで波及をしている場合があります。
燃料タンクの内部腐食
酸化した燃料は防腐効果、防錆効果が失われ燃料タンク内部の錆を誘発します。
燃料タンクはパッケージメーカーが発電機に合わせて設計をしているため
受注生産品となり、価格がとても高額になります。
年式の古い非常用発電機では、生産終了により交換ができない場合もでてきます。
燃料噴射ポンプの固着
ディーゼルエンジンの心臓部は燃料噴射ポンプです。
非常用発電機は、普段から動かしている機械ではないため
燃料が長期間燃料噴射ポンプ内に留まります。
品質劣化した燃料は噴射ポンプ内の固着を招きます。
燃料噴射ポンプの修理は
アッセンプリー交換かオーバーホールの2択になります。
エンジンサイズにより価格は異なりますが、非常に高額な部品のため
部品代だけで数十万円~の価格帯です。
古い非常用発電機は部品供給が終了している場合も多くあり
この場合にはオーバーホールの選択になります。
小さい容量の非常用発電機の場合、取り外して現地でオーバーホールも出来ますが
容量が大きくなると、工場に持ち帰りのオーバーホールとなります。
いずれの場合にも修理には多額の費用負担が生じます。
エアー混入によりエンジン始動できなくなる
ディーゼルエンジンは空気が混入しますと
燃料の圧縮ができないため、始動できなくなります。
燃料系統の戻り箇所でも、劣化した燃料が固着を招き空気混入を引き起こすことがあります。
定期メンテナンスで高額修理のリスクを大幅軽減できます
燃料交換時には、不純物をエンジンに入れない燃料フィルターの交換も必須です。
エンジンを搭載した非常用発電機は、使用頻度を問わず、有寿命部品は時間の経過と共に期待した機能が失われていきます。
高額な故障発生のリスクを軽減するには、年に1度のメンテナンスを実施し
メンテナンス計画の中で燃料交換も組み入れることで、長く安心してお使い頂ける環境が保たれます。